絶対等級

詩は日記で日記は詩

わたしは境界線

わたしは境界線でした

何にもなれない

わたしは境界線でした

どこにもいけない

わたしは境界線でした

大好きなひとほど傷つけてしまう

わたしは境界線でした

 

 

星になってしまったアカウントを思う

星になってしまった言葉たちを思う

 

夜明け前の空が一番暗いって

そんな常套句を知る前のわたしが

リアルに夜明け前の砂利道を散歩しながら

それをイヤでも実感したあの日

 

怒号と拳を飛ばしてたあの人も

戦争で傷ついていたことを知って

憎むことすらできなくなって

呼吸の仕方がわからなくなったあの日

 

幼かったわたしが

日常的に得られなかった穏やかさの中に

放り込まれたとき

家族団欒の風景にどうしても馴染めずに

なぜわたしの家はこうじゃなかったのかと

赤黒い気持ちがどろりどろりと滴ってうるさかった

あの日

 

境界線という

狭い狭い一本の線に

閉じ込められていったのかもしれない

 

わたしは、境界線でした

 

どんなにしあわせになっても

苦しい気持ちが消えないから自殺したっていう

あの子に共感しすぎるから

ノイジーな音楽聴く

 

 

書き続けていれば

いつかキミに届くでしょうか

 

あの日、魂を真っ二つに割って

別々の場所に落としてしまった

(そのあげくどちらにもいけなくなってしまった)

キミに出逢えるでしょうか

 

 

たとえばカテゴライズは

ノックを可能にするための扉であって

排他の精神に則った有刺鉄線ではない

ましてや

自分や誰かを閉じ込めるための鉄格子ではない

 

寂しさに、魂の底から飽きてきたから

そろそろ境界線を越えてそっちに行きたい

なんて思った次の瞬間に

越える境界線なんかなくて

自分自身が境界線なんだと思い知らされる

どこまでも逃げられない

 

あのときの涙も、痛みも苦しみも

ぜんぶ意味のあるものに変えてやるしか

なくなるでしょう

それは、暴力や無関心を

正当化するためなんかじゃない 

 

今日のわたしが

今日のあなたが

どうか今日を、あと一瞬を

流れていけるための

おそらく祈りに近いようなものだ

 

あくまで自分のためにあって

あくまで自分のためであって

 

あと一日だけ生きるって決めて

そんな日々を繋ぐことで

今日まで生きてこれたあの頃みたいに

 

そんな日々を思い出すとき 

いなくなったあとは星になるなら

この地球も誰かの魂なのかな、なんて思ったりするし

だからそんな、同じ地球に生まれ落ちたあなたには

ただ、今も繋がっていてくれてありがとう

 

そういえば

気体と境界線は

目に見えなくて

とても似ている

 

たとえば

 

空白を読み取ってほしい

 

なんて言い出したら

そもそも言葉なんて紡ぐ必要性がない

 わたしの存在が空白になってしまう

気体になって

気体になって

炭酸みたいにどこかに抜けていってしまう

 

だけどありきりたりな表現だけど

行間に何かを感じてくれるあなたが

テレパシれるあなたが

 

気体になった私でさえも

感知してくれる

あなたが

 

やっぱり わたしは

 

 

わたしは境界線だから

こんなふうに一本の糸のように頼りない

わたしは境界線だから

こんなふうに一本の糸のように貫ける自分もいる

わたしは境界線だから

此処は境界線ではなく

もともと、とある場所だったんだと

気づけるときもある

 

わたしは境界線だから

なんにでもなれる

私は境界線だから

どこにでも行ける

わたしは境界線だから 

だいすきな人が

ただひたすらだいすきという

一本の糸を紡いでいるだけだった

 

わたしは境界線だから

この線の先、 きっとあなたにも辿り着けるでしょう

 

わたしは境界線だから