絶対等級

詩は日記で日記は詩

線を重ねて「正」を観る、青を重ねて空を観る

 

「正義」という言葉が

単に悪を叩き潰し

“手段を選ばず”排除する

というイメージに奪われたのは

いつからだったろう

 

お腹を空かせた子供に

食べ物を分け与えるお話だった

アンパンマンもいつからか

バイキンマンにパンチする図ばかり

思い出されるようになった

 

透明な特権性にあぐらをかかれた

社会正義という名の公正さや公平ささえも

粉々になって分離して、そのくせ

十人十色だけは絶対的価値で

 

「人それぞれ」に守られた加害性が

今日も誰かを踏みつぶす。

 

 

「正」の字を書いて人の数を数えてみる

この縦線と横線の数だけ想いがあるという

 

ああ、だけど

 

 

「自由」の意図を

道徳の根本原理が関わる物事にまで

適用しないでくれ

「無責任な自由」にしないでくれ

そんなの自由への風評被害

 

 

たとえ相手を傷つける仕事でも

愛し慈しみ“大切に”世話した末に

本来の寿命よりもはるかに早く

殺すような仕事でも

 

「やってもらってるんだから」

 

文句は言えない
文句を言うな

 

源泉は、「苦労は美徳」精神でしょうか

 

なんでもかんでも

「人それぞれ」を持ち出して

なんにも考えずに変わらなくていい自分を

正当化させるようになった始末

 

私たち、歴史のテンプレートを

なぞることしかできないなら

あとどれくらい繰り返せば

時代は変わり切るのかな

 

道徳にさえクオリアがあるなら

時代とか文化とかいう概念さえもいらない

静かな宇宙船で、それこそひとり

漂っていたい

そこでなら、ずっとずっと、

海月でいても確かに許されるだろう

 

 

夕闇に、溶けそうな頭と

薄い青を重ねて、薄い青を重ねて

染めたような窓の外に

 

どうか憂いのために楽しさを奪われないで

世界の美しい部分を忘れないでいて、と

 

視界に届く声を感じたから

 

また一日を

どうか、なんとか